インドや中国、日本などに伝わる東洋医学は、病気やケガに直接対処する西洋医学とは異なり「未病」という概念を持っています。
ここでは、未病というものがどのような特徴を持っているのかを詳しく解説。
さらに未病の対策方法について、日常生活のなかでできることや話題の「波動測定」「波動療法」についても紹介していきます。
未病とは
現在、原因のわからない症状や体調不良を指す「未病」という言葉に注目が集まっています。
日本医師会の公式見解によると、未病は以下のような状態を指しています。
ここからは早速、未病の具体的な内容についてみていきましょう。
(1)健康と病気の間で変化している状態
未病という言葉は、すでに2,000年前の中国の医学書「黄帝内経」にも登場しています。
「未」という文字からもわかるとおり、未病は病気ではないが完全に健康というわけでもない、中間的な状態のこと。
未病であるかぎり、はっきりとした症状がないからといって健康というわけではありません。
むしろこれから病気に向かっていっていると考えられ、病気になってからでは治療が長引いたり、症状が深刻化したりする可能性も。
普段から万全の健康管理を行って、未病に取り組んでいくことが健康への第一歩になります。
(2)自覚症状がなく気づきにくい
未病は自覚症状がほとんどないところからスタートするのが特徴です。
健康な人が徐々に健康から遠ざかっていくと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
たとえば、「体が冷える」だけであれば多くの人は誰にでもあることとして見逃してしまうかもしれません。
しかしこれは血流が滞っているサインであり、血液の循環にトラブルが出るとさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
また、体温調節がうまくいかないため慢性的な冷え性から肩こりや腰痛を発症したり、自律神経のバランスが崩れたりするおそれも。
ほとんどの未病は、自覚症状の少ないところから始まることに注意をしてください。
(3)「具合が悪い」は未病のサイン?
上記のように「体が冷える」だけであればまだ体は比較的健康ですが、はっきりと「具合が悪い」場合は何らかの病気を疑っても良いかと思います。
具合が悪いといってもその症状はさまざまで、めまいや吐き気を伴ったり、ひたすらにだるさが続いたりする場合があります。
具合の悪い状態が長期的に続くこともあれば、時間を置いて再発するケースもあるでしょう。
これらは自分で体調不良を自覚できている段階ですから、未病かつ何らかの病気の可能性が考えられます。
未病に対処する方法
それでは、具体的に未病に対処するための方法をみていきましょう。
(1)あらゆる角度からの検査や診断が重要
未病に対しては、生活習慣や食生活をはじめとするあらゆる角度からの検査診断が大切になります。
問診の段階では以下のようなポイントをみていきます。
- 疲れやすさ
- 体のほてり・冷え
- 眠りの質・睡眠時間
- 肩こりや腰痛など
- 食欲の有無
- 胃腸の調子
- 排便の状況
- 体のだるさ
- 精神的な不調・ストレス
(2)早期発見・早期治療
未病はどのような場合でも、早期発見と早期治療が基本。
未病であるかどうかを診断したら、それぞれの健康状態に合わせてケアや治療を行っていきます。
漢方処方ができる内科では、未病の症状を東洋医学の観点から5つのタイプに分類し、それぞれに適した漢方を調合して処方します。
未病と診断された患者さん自身も、医師や薬剤師のアドバイスを日常生活に活かすことが大切。
生活を見直していけば、未病が健康な状態へと回復することができるでしょう。
男性が意識したいポイント
男性が未病予防に意識したいポイントは、生活習慣と心身のバランスの2点。
特に男性の場合、痛風の発症率が女性よりも高いことから、プリン体を多く含む食品は控えましょう。
膀胱がんの罹患率も女性より高いので、普段から排尿の状況をチェックし、数年に一度は検診にも通っておくと安心です。
女性が意識したいポイント
女性の未病でもっとも注意したいことは、ホルモンバランスに関わる症状です。
男性にはない月経や子宮に関するトラブルは、少しでもおかしな点がみられたら早めに医療機関を受診してください。
甲状腺疾患の罹患率は男性よりも高く、ホルモンのバランスが乱れた場合「不定愁訴」が起きることもあります。
甲状腺とホルモンのチェックや子宮がん検診などは、一度だけでも受けておくと安心です。
高齢者が意識したいポイント
65歳以上の高齢に差し掛かると、肉体の衰えによる骨粗しょう症や認知症に注意が必要です。
認知症は、早い人で中高年期から現れるとも言われていますが、普段から適度に体を休めて「根を詰めない」習慣をつけておきましょう。
また、食事のバランスやストレスを下げる工夫(運動、趣味の時間など)もポイントになります。
食事としては、5大栄養素に食物繊維を加えた食生活を心掛け、バランスを意識しましょう。
偏食や少食になりがちな方は、食事量をこまめに補ったり食べられる食材をメニューに使ったりと、工夫が必要です。
(3)生活習慣や運動習慣の見直し
未病対策には、生活習慣と運動習慣の見直しが重要です。
「生活習慣」とは、一日の中でいつ起きていつ寝るか、どの程度食事や嗜好品を摂るかといったすべての行動を指します。
生活習慣の中に未病の原因が隠れているかもしれないので、運動も積極的に取り入れていきましょう。
(4)医食同源の考えを取り入れる
東洋医学では「医食同源」という考え方があり、「命を繋ぐために欠かせない食事は、病気を治療するのと同じ」という意味をもちます。
医食同源を意識すると、自分にとって足りない栄養素を補おうという意識が生まれてきます。
また、食べすぎや飲みすぎ、嗜好品の摂りすぎにも注意し、生活スタイルから見直せるようにもなっていきます。
(5)ストレスケアを習慣にする
「病は気から」という言葉もあるように、心の不調はそのまま体の不調に直結します。
たとえばストレスで食欲が落ちてしまったら、必要な栄養素が摂れずに体調不良を起こしてしまうでしょう。
普段からストレスを減らす工夫を行い、未病のリスクを減らしていきましょう。
未病治療のポイント
未病のケアや治療にはいくつかのポイントがあります。
ここからは、未病と診断されてから心掛けたいケアのポイントを詳しく紹介していきます。
(1)まずはセルフケアから
未病は、そのまま放置していると健康状態を悪化させ、本格的な病気として発症する可能性があります。
いきなり漢方や激しい運動で未病に対処しようとするのではなく、まずはできるところからセルフケアを重ねていってください。
具体的には夜しっかりと眠る、アルコールや甘い飲みものを控えてミネラルウォーターを摂る、運動を続けるなど。
これらはすべて生活習慣の一部であり、病院で行う治療とは異なるものです。
しかし生活習慣こそが最高の予防であり治療になるので、自分にどんなセルフケアが必要なのかを考えてみてください。
「タバコの本数を減らす」「5分だけストレッチをする」など、どんなささいなことでもセルフケアに繋がります。
(2)嗜好品のとりすぎに注意
タバコとアルコールはどちらも嗜好品であり、生きるうえで絶対に必要なものではありません。
嗜好品が食生活のウエイトを占めると必要な栄養素が摂れなくなり、体の不調が悪化するおそれも出てきます。
喫煙の習慣がある場合は減煙し、減煙から禁煙へと移行できるように工夫を。
すでに減煙や禁煙ができている場合は、タバコに接する機会を減らして健康的な生活を心掛けてみてください。
お酒が好きな方は飲酒量を減らす工夫を重ねていき、ストレスともしっかりと向き合っていくようにしましょう。
また、嗜好品ではなくても油ものや甘いものも癖になりやすいので、栄養の偏りにも要注意です。
(3)メンタル面とのバランスをチェックする
未病には、食事や運動だけではなく目に見えない「ストレス」の大きさも関係しています。
ストレスは、それ自体目には見えないものですが、肉体から受けるストレス(疲労など)と精神面のストレスがあります。
肉体のストレスは休息や睡眠によって解消できますが、精神面のストレスはなかなか解消しにくいのが特徴。
もしも不眠の症状やだるさ、やる気のなさが続いていたら、それは精神面のストレスかもしれません。
精神の不調がみられたらそのままにせず、運動や入浴などでリフレッシュを。
抱えきれない悩みがあれば、カウンセリングなどで相談するのも良いでしょう。
(4)体温や口臭で未病を早期発見
未病は意外にも体温や体臭、口臭などで気づくことができます。
体臭・口臭・体温のそれぞれについて、未病との関わりをみていきましょう。
体臭
体臭は口にする食べものや飲みものによって日々変化しています。
たとえば便秘症の人は、便秘の長期化によって体臭が強くなることが知られており、強烈な腐敗臭が体の臭いに混じることも。
自分のにおいはなかなか自覚しづらいものですが、「病気ではないけれど体調が悪い」という場合は、まず体臭をチェックしてみてください。
口臭
口臭は、口にしたものが直接反映されるため、ニンニクやアルコールの摂取をしてないときにチェックしましょう。
特に臭いの強い食べものを食べていないのに口臭がするときは、歯周病や消化器の調子が低下している可能性も。
ドライマウス・服用している薬の影響・加齢などで口の中が乾燥すると、臭いが残ってしまう場合もあります。
もしも「臭い」「異臭がする」「いつもと違う」という場合には、未病の兆候が出ているかもしれません。
体温
ホルモンバランスや体調の変化は体温をチェックすることによって把握しやすくなります。
日中は活発に活動できるよう体温が高く保たれていますが、活動時間帯に体温が低く推移している場合は未病を疑うことができます。
(5)漢方を使う
東洋医学では、健康を損ね始めた段階で副作用の少ない漢方薬を服用します。
漢方薬は患者さんの症状と体質を考えながら組み合わせるもので、風邪のひきはじめやメンタル面の不調にも効果的。
月経や更年期のように、病気ではないけれど体調不良が訪れるようなケースにも対処することができます。
(6)先端的な施術を取り入れる
未病の防止に役立つと考えられ、今世界中で注目されているものが「波動測定」や「波動療法」です。
波動療法は全身を細かく検査しながら、臓器や骨などが個別に発する振動(波動)を計測、理想値とどの程度離れているかを測定します。
波動測定でデータをリアルタイムに測定したら、数値が悪いところに特定の周波数をかけてバランスを整えていきます。
これが「波動療法(波動セラピー)」と呼ばれる方法で、波動測定器と呼ばれる機器を使って行います。
波動測定器のなかには、インドの伝統医療であるアーユルヴェーダの考えに基づいて体内のチャクラ(気の流れ)を測定できるものもあり、こちらは未病の箇所と気の流れのバランスが確認できます。
どちらも目に見えない部分が可視化されるので、体重や血圧よりもさらに詳しい健康状態の測定に役立ちます。
これらの先端的な施術は日本国内ではまだ医療として認可されていませんが、非侵襲的な施術であり痛みや不快感は一切ありません。
医学的な検査で発見のできない未病に対して有効であるとされ、クリニックのほかにエステサロンや整体院でも受けられます。
未病のケアや治療を考えている方は、先端的な施術を取り入れてみてはいかがでしょうか。
未病予防の注意点
ここまで未病治療の重要性について紹介してきましたが、ここからは予防上の注意点についてみていきましょう。
(1)長期的に取り組んでいく
未病の予防は1回で終わるものではないので、長期的に取り組むことが基本となります。
ダイエットや筋力トレーニングのように激しい運動や食事制限をする必要はなく、気軽にできるところから始めていきましょう。
未病のケアには生活習慣の改善と、健康状態のチェックが必要不可欠です。
健康状態のチェックは、先ほども紹介したように体調のチェック・体温や体重の測定のほか、波動測定もおすすめです。
いろいろな検査やチェックを組み合わせて自分の健康状態を把握していけば、体調の変化が時系列で追えるようになります。
都合によりセルフケアができないときは最低限栄養に注意した食事を摂り、たっぷりと休息をとってください。
(2)改善点を放置しない
「体調不良が続いているので、もしかして未病かも?」と思ったときは、そのままにせず改善に取り組みましょう。
女性の場合、生理周期による体調不良の可能性がありますし、男女ともに中高年期には更年期の可能性も疑ってください。
それらの心配がないにも関わらず体調不良が続くときは、思い切って生活習慣の見直しを。
毎日の生活を振り返り、ライフスタイルを見直してみて、それでも改善しなければ医療機関を受診します。
そこで原因不明の場合はストレスレベルを下げたり嗜好品を減らしたりする工夫で様子をみてください。
改善点が一つでも見つかればそこを放置せず、しっかりと取り組んでいくことが未病予防のポイントです。
(3)健康な生活を継続する
健康的な生活は、1日や2日ではなく長期的に続けていきましょう。
夜ふかしが習慣になっていると昼夜逆転や不眠の原因になり、そこから体調不良が起こる可能性も。
食事は常にバランス良く食べて、好き嫌いも減らしていく心掛けが大切です。
外食ではなく自炊にして、いろいろな食材をメニューに取り入れていくと、健康的な食事が続けやすくなります。
普段の生活では、無理や負担のかかる生活を見直してメンタルバランスに配慮していきましょう。
心が軽くなれば体にも良い影響が出てくるので、睡眠や休息もしっかりととりながら心が不安定になりすぎないように注意を。
未病対策で健康を目指そう
未病は進行とともにいろいろなところに兆候が現れてくるので、普段から健康状態をチェックすることが大切です。
健康診断や人間ドックは医学的な検査方法なので確実な判断が可能ですが、そこだけでは把握しきれない未病も存在します。
隠れた未病を判断するためには、運動や食事への配慮を続けること、少しの変化も見逃さないようにしましょう。
波動測定のように、全身の数百箇所を測定して機能低下の箇所を特定していく方法もおすすめです。
未病の内容が明らかになれば対処の仕方やケアの方向性が見えてくるので、問題点を放置せずにしっかりと取り組んでいきましょう。