仕事や人間関係でストレスを抱えている人が多いといわれる今。自分では気がつかないうちに、心が疲れてしまっていることもあるかもしれません。
なんだかやる気がでない、わけもなくイライラしてしまう、休んだつもりなのに疲れがとれない……。これは、心と身体からのサイン!
気持ちが落ち込んでしまったとき、イライラや不安で心が疲れてしまったとき、アロマ(精油)の力を取り入れてみませんか?
ここでは、精油を選ぶとき・使うときの注意点、シーン別でおすすめの精油をご紹介いたします。
1.精油を選ぶ前に
精油とは、植物の花や葉、樹皮や根などから抽出される100%天然の素材で、その植物の有効成分を高濃度に含んだ有機化合物です。植物によってさまざまな作用があるため、目的によって選んでいくことが大切です。
(1)アロマはなぜ「効く」のか?
香りをリラクゼーションに使うというイメージが強いアロマですが、ヨーロッパなどでは、古くから代替医療として活用されていました。現在、日本でも代替医療への導入が進んでいます。
そんな100%天然の精油には、さまざまな作用があります。
心と身体をリラックスさせる鎮静作用、痛みを和らげる鎮痛作用、皮膚を引き締める収れん作用など、他にも心や身体に作用する働きが多くあります。
しかし、日本では精油は「雑貨」扱いとなっているため、医薬品と誤解されるような効果・効能を表示することが禁止されているのです。
(2)アロマを選ぶときに知らないと怖い注意点
現在、さまざまなショップで販売されているアロマオイル。気軽に手にすることができるからこそ、選ぶとき・使用するときには注意が必要です。
(1)高品質のものを選ぶ
アロマオイルと販売されているものの中には、合成香料が混ざっているものやエタノールなどで薄められているものもあります。「精油」「エッセンシャルオイル」と表記されている100%天然のものを選びましょう。
その中でも、オーガニックなどの高品質のものがより良いといわれています。
(2)直接肌につけたり、高濃度で使用しない
精油には植物の成分が高濃度に含まれているため、そのまま使用すると皮膚や粘膜を刺激してしまいます。トリートメントなど肌につけて使用したいときは、植物油などで希釈して使用しましょう。
(3)飲まない
フランスなどでは、医療行為として医師の指導により飲用されることもありますが、体内の粘膜が刺激されることもあるため飲用は避けましょう。
(4)妊婦中の使用に注意
身体が敏感な妊娠中は、時期によっても使用を避けたほうがよい精油もあります。芳香浴で楽しむか、専門家のアドバイスのもとで使用しましょう。
(5)3歳未満の乳幼児には芳香浴以外は使用しない
抵抗力が弱く精油の影響を受けやすいため、使用には注意が必要です。
(6)光毒性のある精油に注意
光毒性とは、精油を塗った部分に強い紫外線が当たることによって、炎症や色素沈着などが起こることをいいます。柑橘系の精油に多いのが特徴です。外出前に使った場合は、紫外線に当てないよう注意しましょう。
(7)保管場所
高温多湿や紫外線を避け、冷暗所で保管しましょう。また、子どもやペットの手の届かない場所へ保管しましょう。
(8)引火する可能性があるので、使用する際には火気に注意しましょう。
アロマオイルは引火する可能性があります。火のあるところでは使用しないようにしましょう。
2、落ち込んだとき、疲れているときにシーン別で使いたアロマ
心の状況によって、おすすめの精油を紹介します。
(1)落ち込み方がひどく今すぐ抜け出したい方にはマジョラム(スイートマジョラム)
「長寿のハーブ」ともいわれるマジョラムは、心身の緊張をほぐし、バランスを保つことを手助けしてくる精油です。ハーブ系のスーっとした感じと甘くスパイシーで温かみのある香りは、心も身体もリラックスさせ、安らぎを与えてくれます。
副交感神経に働きかけ、強張った身体をほぐし、不安定な気持ちを落ち着かせてくれるとともに、気力を補ってくれる強壮作用もあるため、心身のバランスを整えるのにおすすめです。
①アロマだけでなく良質な睡眠を
心と身体の健康に欠かせないのは、良質な睡眠!
マジョラムは、寝つきの悪さの改善など、深い眠りへのサポートにも役立ちます。寝る前に、マジョラムで芳香浴をするのもよいでしょう。
他にも、心地よいリネンや落ち着く照明に変えるなど、寝室の環境を整えることも大切です。
疲れていたりやる気が出なかったりすると、電気をつけたままソファーでうとうと…なんてこともあるかもしれません。しかし、眠っていても身体が光を察知し、メラトニンの分泌が減ることで体内時計がくるってしまい、悪循環となってしまいます。脳と身体を休ませるためにも、睡眠環境を見直してみることも大切です。
②無理しているなら休む勇気を
気持ちが落ち込んでしまう自分を責めたり、どうにかしようと頑張りすぎたりしてしまうことは逆効果になることも。
無理して頑張っているようなら、思い切って休むことも必要です。仕事を休む、家事を変わってもらうなど、落ち込みの原因となっている場所から少し離れてみることで、気持ちが落ち着いてくることもありますよ。
③専門家を頼る勇気が必要なとき
セルフケアをしてみたけど状況が改善されない、もしくは、何をするのも嫌な無気力状態が続いてしまったときは、思い切って専門家を頼ることも必要です。
病院へ行くのはちょっと…というときは、カウンセラーやセラピストなど、心を専門にしている方へ相談してみることもおすすめです。
(2)疲れがひどくリラックスしたい方にはラベンダー
「一家に一本」「万能精油」などといわれるラベンダー。親しみやすく、軽やかで甘みがあるフレッシュな香りです。さまざまなトラブルに使用できるため、初めの1本におすすめの精油です。
鎮静作用があり、心身ともにリラックスさせるとともに、免疫力の向上や自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。溜まったストレスを和らげるのにもおすすめです。
①手っ取り早くアロマバス
アロマバスとは、精油を入浴中に楽しむ方法です。鼻からの香りの吸入と皮膚からの浸透によって、精油の成分を心身に取り入れることができます。また、入浴によるリラックス効果や温熱効果も合わさって、心も身体もより休まることが期待できます。
◆全身浴
バスタブのお湯に1~5滴の精油を入れ、肩までつかる。38℃~40℃程度のお湯がおすすめ。
◆半身浴
バスタブにぬるめのお湯をはり1~3滴の精油を入れ、みぞおちまでつかる。全身浴に比べて、心臓への負担が軽くなります。
◆部分浴
洗面器やバケツにお湯をはり1~3滴の精油を入れ、手や足を浸す。だるくてお風呂に入るのも億劫なときなどにおすすめ。
(注意)
・精油は水に溶けにくい性質があるので、5ml程の植物油や天然塩に混ぜて溶かすとよい。
・肌に刺激を感じたら、すぐに洗い流すこと。
②枕元にラベンダーを垂らしたティッシュを置いておく
マジョラムと同じく、副交感神経に働きかけてくれるラベンダーは、入眠や良質な睡眠をとるためにもおすすめです。
アロマポットなどがなくても、枕元にラベンダーを数滴垂らしたティッシュを置くだけで、ほのかに香るラベンダーが睡眠をサポートしてくれます。
③お風呂上りにアロマブレンドオイルマッサージ
ゆったりとしたアロマタイムを楽しみたいときは、オイルマッサージもおすすめです。
ほとんどの香りとの相性が良いといわれているラベンダーは、ブレンドにも最適(マジョラムとの相性も◎)。自分がリラックスできる香りと混ぜてマッサージしてみませんか。
香りのリラックス効果とともに、リンパの流れを良くし老廃物の排出を促す効果も!
◆ブレンドにおすすめの精油
・リラックスしたいとき
ベルガモット、ジャスミン、ゼラニウム、ローズウッド、ジュニパー など
・元気を出したいとき
スイートオレンジ、ローズマリー、レモン、グレープフルーツ、レモングラス など
◆マッサージオイルの作り方
精油の希釈濃度が1%以下となるように、植物油で希釈する(薄める)。
植物油の量
濃度 |
10ml | 20ml | 30ml | 50ml |
0.5% | 1滴 | 2滴 | 3滴 | 5滴 |
1.0% | 2滴 | 4滴 | 6滴 | 10滴 |
(3)自分としっかり向き合いたいときはフランキンセンス
オリバナム・乳香ともいわれるフランキンセンス。ウッディーとスパイシーさが混ざり、ややフレッシュですっきりとした感じが残る神秘的な香りが特徴的です。
鎮静作用により心を落ち着かせる働きがあり、不安や緊張を解き放ちます。呼吸をゆっくりとさせてくれる作用もあり、ヨガや瞑想など、深く自分自身と向き合うのに最適な精油です。
(4)現状打破したい!勇気を出したいときはブラックペッパー
料理のスパイスとしても使われるブラックペッパー。スパイシーな香りで、やる気をみなぎらせてくれます。
身体を温める作用によってエネルギーが増進。活力と行動力によって、自分の力で現状を変えようとするパワーを与えてくれるでしょう。心に刺激が必要と感じるときにおすすめです。
(肌への刺激があるので、沐浴やお顔への使用は避けてください。)
まとめ
いかがでしたか?
環境が変わって数ヶ月経ったときや季節の変わり目など、心も不安定になりやすいと言われています。いつものように調子がでない、なんだか不安定と感じるとき、精油を使って心のバランスを整えてみませんか。
おすすめの精油だからといって、心地よく感じられない香りを嗅いでいると、さらにストレスを感じてしまうことも。自分の感覚を大切にして、心地よく感じられる精油を選んでみてくださいね。
毎日の生活に気軽に取り入れることのできる精油。ぜひご活用ください!