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現役医師が解説!運動の健康に対する効果

投稿日:2022年1月8日 更新日:

運動は健康にいいというのは、ほぼすべての人がうなずく程に広まっている共通認識であると考えます。しかし、運動は健康にどのように影響しているのか、実際にどのような運動が何に対して効果的なのか、などを理解している方は少ないと思います。今回はそのような運動と健康の、意外としらない関係について解説していきます。

運動と健康

運動と健康の効果については多くの研究結果をベースに、その影響が明らかになっています。厚生労働省が発表している通り、身体活動量が多い方や運動をよく行っている人は、心筋梗塞のような虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症などになる確率が低く、さらに結腸がんなどになるリスクも低いことが知られています。また、精神的な面でもメンタルヘルスに不調をきたすことは少なく、高齢者でも歩行など日常生活量が多いと寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが分かっています。
そのように、運動は健康に対して明らかな好影響があるにも関わらず、日常的に運動習慣がある方は多くはありません。多くの人が無理なく日常生活の中で運動を実施する方法と提案してみたいと思います。

運動の種類とそのやり方

運動と一口に言ってももちろん様々なものがあります。ウォーキングも運動ですし、筋トレも運動、実は柔軟体操も運動としての効果があります。今回はそのそれぞれについて解説し、自宅で取り入れる際の注意点をお伝えしていきます。

有酸素運動

有酸素運動とは 運動の際に必要なエネルギーを、酸素を消費しながら脂肪や糖質を燃焼させて作り出す運動を指します。有酸素運動の例としては、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクス、なわとびなどがあります。

運動の多くはエネルギー源として糖質を利用しますが、有酸素運動では脂肪をエネルギー源として消費できることが特徴です。これが、ダイエット目的の方などに勧められる理由の一つです。

ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動をある程度の時間継続することで、心肺機能の向上も期待できます。また心肺機能が向上し運動できる範囲広がれば、徐々に基礎代謝が上がります。何もしなければどうしても加齢ととも基礎代謝は低下するため、基礎代謝を維持するためには運動は欠かせません。

また、有酸素運動は軽い負荷で時間をかけて行うことをお勧めします。というのも、脂肪はもともと利用されにくいエネルギー源で、運動で脂肪がエネルギーとして利用されるのは20分を超える頃からといわれています。

ただし運動習慣がない中、いきなり20分以上の運動を続けるのは無理だと思われると思います。もちろん短時間の運動でもカロリーは消費されます。そして5~10分程度の有酸素運動であっても、こまめに行えば体脂肪が減り健康増進につながることがことがわかっています。

ここで、普段の歩行を有酸素運動であるウォーキングに変えるコツをお伝えします。

歩くときに、腕を大きくリズミカルに振り、背筋をのばす・胸を張るという姿勢を意識して、歩幅を意図的に大きく、かかとから着地しつま先は地面を蹴るようにして歩きましょう。これだけ意識するだけでも、立派な有酸素運動になります。

無酸素運動

無酸素運動とは、有酸素運動とは対照的に、運動するときに息を止めて行う運動をさします。主な例として筋肉トレーニングが挙げられ、スクワットや腕立て伏せ・腹筋など自重で行う運動や、ダンベルやバーベル・マシントレーニングなど負荷をかけて行う運動などがあります。これらの運動は、有酸素運動にくらべて筋肥大や筋持久力を高めることが期待できます。筋肉が太く大きくなるとそれだけ基礎代謝量も増加しますし、筋肉が血糖を栄養として動くため血糖値の安定にもつながります。

女性の方で筋トレなどの無酸素運動では筋肉ムキムキになってしまうことを心配される方もいますが、男性に比べて女性は男性ホルモンが少ないため、筋肉はそれほど肥大しません。正しく筋肉が付くと、ウエストがくびれたり、ヒップラインが上がったりなど、メリハリのある身体になります。

筋肥大ばかりに印象がいく筋肉トレーニングですが、実はそれ以外のことに対する影響も大きくあります。基礎代謝があがることで太りにくい体質になり、体幹の筋肉がつくと姿勢が良くなり、筋肉を動かすことで血行促進効果が期待でき肩こりやむくみを軽減します。運動が単に健康だけに影響するだけでなく、生活の質があがる理由はこの辺りも関係しています。

ただし、息を止めて行う高荷重の運動(筋トレは)は、急に始めてしまうとケガにつながりかねません。一時的には血圧の急上昇を招き、筋損傷などの大きなリスクもあります。つながります。初心者が始める筋トレ運動は、いきなり高荷重から始めるのではなくまずは15~20回を問題なくこなせる運動・重さから始めましょう。それを2~3セットを目安にすることで、リスクが減らせます。徐々に負荷を挙げることを忘れないでください。

ストレッチング(柔軟体操)

有酸素運動・無酸素運動とは少し異なる運動に柔軟体操(静的運動)があります。ストレッチの印象は、運動前に行う準備体操というものが一般的かもしれませんが、実は立派な運動の仲間です。

ストレッチとは伸ばすことであり、ストレッチングは意図的に筋肉や関節周囲を伸ばしほぐす運動です。ヨガやピラティスなどは有酸素運動でもありながら、このストレッチングの範疇にも含まれます。

これらはランニングや筋肉トレーニングとは明らかに異なる運動ですが、筋肉が刺激されるためれっきとした運動で、筋温や体温を高める効果があります。柔軟性の向上だけでなく、リラクゼーションの効果も明らかとなってきました。ストレッチングを30分程度続けると、前頭葉でのα波を増加、心拍数を低下などがみられ、副交感神経活動を有意に増加することが明らかとなっています。

またストレッチングを行うと、筋肉がほぐれて血流がよくなり代謝があがります、また全身の隅々までに酸素と栄養が届きやすくなる効果もあります。

自宅でストレッチングを行う際に注意してほしいこととして、呼吸をとめないこと、反動をつけないことがあります。呼吸を止める無酸素運動では身体は緊張状態になり、筋が硬くなり、本来の目的から離れてしまいます。ストレッチング中は鼻と口を使って細く長くゆっくり息を吐くことを意識しながらリラックスした状態で、気持ちよく筋をストレッチしてみてください。ストレッチング中は、勢いや反動をつけずに少しずつゆっくり伸ばしていきましょう。筋は急激に伸ばされると、反対に収縮する性質があり、柔軟が得られない可能性があります。静的なストレッチを意識してください。

そしてこれはすべての運動に言えますが、無理をしないことも大事です。人に手伝ってもらって無理やり行っても、ご自身の筋肉の可動域を超えてけがをする可能性があります。人と比べず、ご自身で得きる範囲で行ってください。ス

まとめ

運動と健康の関係について解説させていただきました。運動習慣は、生活習慣病の予防や、身体の機能維持に大きく関係します。日本は徐々に長寿社会になってきましたが、最期の時まで生き生きと自分らしい人生を歩むためには、生活習慣病の予防や身体機能の維持が欠かせません。自宅で簡単に取り入れられる運動から始めてみて、続けることが大切です。運動習慣を手に入れて、豊かな人生を送りましょう。

  • この記事を書いた人

Masa

現役臨床医のMasaです。消化器外科・総合診療医として地域中核の総合病院に勤務中。 【保有資格】医師免許・外科専門医・腹部救急認定医 【経歴】 大学卒業後、外科医として臨床経験を積み、現在は消化器外科・総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療をしています。また、往診や訪問診療もしており、若年者から高齢者・老年医療まで広く対応しています。

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