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流行りのサウナ浴がもたらす健康効果を現役医師が説明!

投稿日:2022年1月22日 更新日:

近年日本でもサウナブームが巻き起こったことからも多くの愛好家がいることがわかるサウナですが、そのサウナにはどのような健康効果があるのでしょうか。実は気になっていたけれども聞けなかった、サウナの身体に及ぼす影響について解説していきます。

サウナとは

日本でサウナと言えば、サウナ室をサウナストーブで80~100℃の高温状態に保ち、その周りを囲っている木製の椅子に座って汗を流す蒸し風呂を指します。サウナは日本発祥ではなく、もともとフィンランドが起源でそれが徐々に伝わりました。サウナにもいろいろな種類がありますが、本邦でサウナと言えば、一般的にはフィンランド式のドライサウナのことを指します。

サウナの歴史

サウナの起源がフィンランドであることは広く知られていると思います。ただその詳細はフィンランド国内でも諸説あり決定的なことは分かっていませんが、2千年前からサウナ浴は行われていたとされています。当時は薪ストーブなどでサウナ室を温めて入浴するスモークサウナが一般的であったようです。

日本でフィンランド式サウナの始まりのきっかけは、東京オリンピックであったようです。というのもそのころから電気ストーブに石を乗せて熱し、そこに水をかけて水蒸気をあげて入浴するという簡便なサウナが出てきました。サウナ設置が容易になり、大衆向けに一気に広がり人気になりました。

サウナの健康効果

サウナが健康にいいとされている理由には、高温のサウナ浴に入浴することでおこる身体的変化があります。体温があがり、循環がよくなり、汗が噴き出すように流れ出ることがサウナ浴の特徴ですが、それぞれの状況で健康にたいしていい影響が起こります。さらにサウナの最も基本的な入浴方法である、サウナ浴と水風呂を繰り返す温冷交代浴が健康維持にいい影響を及ぼします。

サウナ浴で期待できる健康効果 温熱効果

高温のサウナに入ると、末梢血管が開くことや、心拍数が速くなること、さらに一時的に血圧が上がるなど、身体の各器官に機能亢進が起こります。この結果、サウナに入ると血流は安静時の2倍近く亢進すると言われています。

サウナ浴の温熱効果で血液の流れが改善することで、酸素や栄養が含まれた新鮮な血液が体の隅々までいきわたり、それとともに疲労の素になる老廃物などがスムーズに排泄されます。肩こりなどの主な原因に筋肉の過度の緊張や血液循環不良がありますが、それがサウナ浴で血流がよくなり痛みの原因となる老廃物が排泄されることで、肩こり・腰痛などの改善も期待されます。

また、サウナ浴と他の入浴方法の大きな違いの一つに、サウナ浴では発汗作用が高いことがあります。サウナのような高温での入浴では、体温が38℃近くまで上昇し、全身の汗腺から汗が噴き出ます。汗が出ると同時に毛穴にある皮脂腺から余分な皮脂が、アポクリン腺からは鼻を刺す臭いのもとになる老廃物が排出され、皮膚や皮下組織のコンディションが整い、体臭なども軽減します。

サウナ浴で期待できる健康効果 HSP(ヒートショックプロテイン)の増加

ヒートショックプロテインとは細胞の損傷を防ぐタンパク質の一種です。熱めの風呂に浸かったり、高温のサウナで入浴するなど、身体に熱刺激が加わるとHSPの産生が誘導されることが知られています。日常のさまざまな病気による種々の症状や、ストレス性の症状で悩むことがありますが、その原因の根本は細胞の中にあるタンパク質の障害から起こります。このタンパク質の障害を修復してくれるのがHSPとされています。

本来は感染など体に外的ストレスがかかったときに増加しますが、サウナなどの熱でも産生を誘導できるため、サウナ浴では意図的にHSPの産生を促すことができます。

HSPには疲れやストレスのもとになる乳酸の分泌を抑制する働きがありストレスが緩和される、シミやしわなどにつながる有害な活性酸素の働きを阻害する効果などもあり、ストレス緩和・美容効果などさまざまな効果が期待できます。

サウナ浴で期待できる健康効果 温冷交代浴

サウナ浴はその特徴に、温冷交代浴をすることが挙げられます。本場フィンランドではサウナを出た後に水風呂に入る習慣はなく、近くにある雪や氷の張った池に飛び込むようです。日本ではサウナで温まった体を水風呂や外気で冷やすことで一般的ですが、それにより様々な効果が期待できます。

サウナ後の水風呂を経験したことがあると、水風呂に入ったのに体が温まっていることを自覚することがあると思います。この理由は、高温のサウナに入浴することで、次第に末梢血管が拡張し循環がよくなります。この状態で急に冷たい水風呂に入ると、血管は一転して急激な収縮を引き起こします。ただ水風呂で体の中心温度まで下がることはないため、水風呂を出たあとに血管が反射的に以前より拡張すると、内部の温まった血液が全身を循環することで身体がぽかぽかと暖まってくるのです 。

このサウナと冷水浴の交代浴は、血管の反応を強く引き起こすことで自律神経系の活性に役立つと言われています。日常生活で自律神経の働きが活性化するような場面がないと、自律神経の動きは鈍り、それによりめまい・不眠のような自律神経失調症の諸症状の悩まされることがあります。このサウナの交代浴で交感神経・副交感神経を強く刺激することで、自律神経系の調節能力を高め、身体のバランスを取り戻すことができます。

サウナ浴 健康に効果的だが注意も必要

サウナ浴は上記のような多くの健康効果がありますが、サウナによる健康被害があるのも事実です。サウナの効果を最大限引き出すためにも、サウナ浴の際に気を付けてほしい注意点をあげます。

水分摂取は欠かさない

発汗を目的としてサウナに入る方も多いと思いますが、水分摂取を最低限にして減量効果も合わせて期待するようなことは危険です。サウナで期待される減量効果は、発汗によるものと、老廃物などを排泄でむくみが減ること、代謝が上がることで必要エネルギーが増えることなど複合的な要素が組み合わさってのものです。むしろ水分をこまめに取りながらのほうが発汗を促せます。水分摂取を制限して脱水症状などを引き起こして倒れる方は後を絶ちません、ぜひこまめな水分摂取を欠かさないでください。

妊婦さんのサウナ利用は避けましょう

妊娠初期であまり体の変化がないうちは、サウナを利用できるほど体調がいい時もあるでしょう。だだ、妊娠初期にあまりに深部体温が高温になると催奇形性があるとされています。一般的なサウナの入浴方法で催奇形性が起こるほど深部体温があがることは考えにくいですが、個人差も多く絶対とは言えません。妊婦さんのサウナ浴はできるだけ控えた方がいいと考えます。

子供のサウナ入浴は危険です

子供は、大人に比して自律神経系の発達が未熟です。突然、サウナのような高温環境や、温冷交代浴のような状況に置かれても、身体の自律神経が適応できず血圧が低下してしまうなどの危険があります。特に5歳以下の子供は利用を控えたほうがよく、それ以上の年齢でも短時間の利用や、できるだけ低温のサウナにするなど積極的な利用は控えた方がいいと考えます。

まとめ

現代社会の生活のなかで、年齢を重ねるにつれて汗をかく機会が減ってきていると思います。運動による発汗もいいですが、サウナ浴による温熱効果・発汗作用も身体の健康に対してとても重要な働きをしてくれます。サウナの入浴方法を変えれば、不眠症が改善し眠れるようなる、疲労回復につながる、美容効果がある、疼痛緩和につながると、その人ぞれぞれの目的にあった入浴が可能です。
健康意識が高まっている方でサウナに興味がある方は、サウナ浴による健康維持を考えてみてはいかがでしょうか。

  • この記事を書いた人

Masa

現役臨床医のMasaです。消化器外科・総合診療医として地域中核の総合病院に勤務中。 【保有資格】医師免許・外科専門医・腹部救急認定医 【経歴】 大学卒業後、外科医として臨床経験を積み、現在は消化器外科・総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療をしています。また、往診や訪問診療もしており、若年者から高齢者・老年医療まで広く対応しています。

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